イッツ クール
パッと見て、まず目につくのは、柄のプツプツ。
GLOBAL包丁の特徴的なデザイン。シンプルだけれど洗練されたスタイル。
この小洒落たデザイン、どこの国の製品だと思いますか?
先鋭的な雰囲気だからアメリカかな?エッジが効いてるけどシンプルなデザインだからフィンランド?
私自身、最初は海外製なんだろうな〜、なんて思っていました。
GLOBAL包丁の出身地、答えは日本。
新潟県燕市にある、吉田金属工業株式会社の製品です。
そう、日本が誇る金物の製産地、”燕三条”の燕市。
江戸時代初期、信濃川の氾濫に苦しむ農民の副業として始まった和釘づくりがきっかけで、この地域で鍛冶が盛んになっていったといわれています。資源・燃料は山から、河川で物流を担い、何より寒い冬を幾度となく乗り越えてきた気骨。燕三条には様々な条件が揃い、今や金属加工産業の名産地として世界的にも有名となっています。
金物製品で「燕三条で作られた物だよ」と聞くと「おぉ!良い物だね!」と無条件に思わせてしまう、燕三条ネーム。
ちなみに、「燕三条」駅はあるけれど1つの”市”ではなく、燕市と三条市に分かれるのでお含みおきを。
この吉田金属工業株式会社、1954年12月に設立、ステンレス製品メーカーとして操業を始めます。
当時、包丁と言えば鋼が一般的。”ステンレスは切れ味が悪い”と言われていたのですが、創業者の渡邉勇蔵氏が切れ味のよいステンレス製包丁に出会います。その出会いをきっかけに、ステンレス包丁の開発チームを発足、1960年にステンレスの刃に木柄の”文明銀丁”を発売しました。画期的な製品として高い評価を得た後も探究心は衰えず、更に開発を進めて1983年に発売されたのがオールステンレス包丁の”GLOBAL”。
1983年、今から40年以上も前になります。40年以上も前と言ったら、私がこの世に産声を上げた頃。赤ちゃんの頃の写真を見返してみると、「素朴でレトロな、愛すべき古めかしさ」を感じますが、その時代に、今見ても古めかしさを感じさせないデザインの包丁が誕生していたのです。
GLOBALの存在を知らなかったら、「これ、今年発売された包丁だよ!」と言われても「そうなんだ、おしゃれだね!」と納得する自信があります。
ちなみに1983年は東京ディズニーランドがオープンした年でもありますね。
我が家には合計4本のGLOBAL包丁があります。
使用頻度の高い順で言うと
・GS-3 ペティナイフ
・GS-38 皮むき
・G-46 三徳
・G-9 パン切り
普段の料理は主にペティナイフを使用しています。
ペティ(フランス語で”小さい”)と言えども刃渡り約13cm。
よほど大きな肉の塊やマグロを捌くのでなければ十分な大きさです。ペティナイフの柄は三角に先細りしていて、手が大きくない人にも握りやすいサイズ・形なのも嬉しい。果物・野菜、お肉にお魚。料理をする上での良き相棒です。
お次は皮むき。
我が家の子供たちは果物が大好き。家で食事の際は毎回準備するように心がけていますが、食卓へ持っていくと1番初めに食べてしまいます。本当は食事の最後に食べて締めくくって欲しいのだけれど、子供たちは真っ先に食べてしまうので、必然的に「おかわり!」となるのです。そんなに毎回何度もおかわりを出せないけれど、ちょっとだけだよ、と追加で準備するときによく使います。
刃渡り9cm、小回りが効いて小さい果物もよく切れる。アメリカンチェリーの種を取る時にも大活躍します。
それから、彩りに何か追加したいな、と言う時に出番の多いミニトマト。子供たちが丸のまま飲み込まないように、半分に切って出す時にも使います。大人の時は丸のままだけどね。
その次は三徳包丁。
刃渡り18cmの、とても立派な包丁で、普段ペティナイフを使っている者からするとしっかりと安定した重さを感じる包丁です。
こちらは塊肉やスイカと言った大きなもの、カボチャのように固い食材を切る時に使います。固いものって切る時にちょっとドキドキしませんか?ちゃんと切れるかな、刃が滑ってケガしないかな…。この包丁なら切れ味が良いのでそのような心配はご無用。柔らかい食材に比べたら力は要りますが、とても気持ちよく切ることができます。(食材がすべる場合は、きちんと安定する面をまな板に置く必要がありますね。)
私自身は食材によって三徳包丁を使うかどうかを判断していますが、手の大きな人にはこちらの方が使いやすいようで、夫が料理をするときは食材問わず三徳包丁を使っています。ペティナイフの柄は三角の先細りした形でしたが、三徳包丁の柄は一定の太さなので手の大きな人にも握りやすそうですね。
最後はパン切り。
スライスされていない一斤のパンを購入した時や手作りサンドイッチといった、パン類を切る時に使います。子供たちは食パンのふわふわしたところが好きなようで、朝食が食パンのときは「耳を切って!」とリクエストされる。そう言った時に、子供たちの食パンの耳を切ったりします。そして私は耳が好きなので、その耳を美味しくいただきます。
正直に言うと、そこまで使用頻度は高くない。でも、いざ使うときに”GLOBAL”のパン切り包丁を出すと、とても満たされた気持ちになれます。GLOBAL愛好家の、ちょっとした自己満足です。もちろん、切れ味は抜群ですよ。
それから、刃のギザギザと柄のプツプツのコントラストが、なんともおしゃれだな、と感じる製品です。
料理をした後は手洗いをして片付けましょう。今は食器洗浄機・乾燥機という、とても便利なものがありますが、サビの発生につながる恐れがあるので、吉田金属工業としては包丁を洗う時、食洗機を使用しないように、としています。ですので、やさしく手で洗いましょう。
刃と柄が異素材でくっつけられていると、その間に汚れがたまりそう、と思ってしまうけれど、このGLOBALなら心配ご無用。
刃と柄が一体のオールステンレスですから、引っかかりも無くなめらかに洗うことができます。
ところで、柄のプツプツした穴、カッコイイデザインだけれど、汚れが溜まらない?時々ふと思うことがあります。手持ちのGLOBAL包丁数本、柄の部分を比べてみると、使用頻度の高いものと低いもので穴の色が違っているので、やはり汚れが溜まっているようです。
ちなみに、使用頻度の低いパン切りの穴は黒く、使用頻度の高いペティナイフは茶色くなっていました。
ペティナイフは1番最初に購入した包丁。かれこれ15年以上経ちますが、そう言えば柄の穴を掃除したこと一度もなかったな…。積年の汚れが伺えます。
柄の穴の掃除について色々と調べてみたところ、「漂白剤で洗う」といった方法が出てきたのですが、漂白剤ってとても強力で皮膚に付いた時はヒリヒリ。本当に使って大丈夫?と思い、吉田金属工業の質問ページを見てみると「カビが発生することがあるので、ご使用はお控えください」とのこと。じゃぁどの方法がいいの?と言うことで直接問い合わせてみました。
問い合わせフォームから質問、「2営業日以内の回答」となっていますが、当日すぐに返信がありました。
なお、いずれも過度に力を入れますと、ドット内の黒いメッキが剥がれたり、ハンドルに傷が付く原因となる場合がございます。
洗剤と歯ブラシ。確かに細かい箇所の掃除ににもってこいですね。綿棒も効果的とのことだけれど、1つ1つの穴にくるくるするのは、時間がかかりそう。そして、穴の中はメッキ加工がされているのですね、初めて知りました。
吉田金属工業おすすめの掃除方法、洗剤+歯ブラシで試してみました。
穴の中のメッキが剥がれないよう、力を入れすぎず、適度な力加減で磨きます。
掃除前と後、比較をすると一目瞭然ですね。スッキリ綺麗に、黒い穴になりました。
ちなみに、クレンザー+歯ブラシである程度の汚れは落ちたものの、積年の汚れはなかなか手強く、最終的には一つひとつ綿棒でくるくると掃除しました。ちょっと時間はかかったけれど、意外と集中できて楽しく掃除が出来ました。そして何より一つひとつ綺麗になっていく様がなんとも爽快。また汚れが溜まって掃除をするときは綿棒を使おうと思います。
穴の汚れが気になっている方は、ぜひお試しを。
包丁で大切なポイントは切れ味。デザインも大事だけれど、よく切れる、これぞ良い包丁。
購入後しばらくは切れ味がよくても、長い間使い続けていると、その切れ味も段々と変わっていきます。それも愛すべき変化と受け取れたらよいけれど、やっぱりスパッと切れ味の良い包丁の方が料理もスムーズ。
とっても切れ味の良いGLOBALの包丁。切れ味が鈍ってきたら、まずはこちらをお試しください。研ぎ石ならぬ”研ぎセラミック”。研ぐ部分がセラミックになっているシャープナーです。
研ぐ部分へ包丁の刃を当て、軽く手前に6〜10回ほど引くと切れ味が蘇ります。GLOBAL包丁を購入したのはかれこれ15年以上も前のこと。こちらのシャープナーを適宜使用しつつ、切れ味の良い状態で料理ができています。
自宅で研いでもイマイチ切れ味が戻らない、と言うときは、プロにお任せ。吉田金属工業では、職人が手作業で研ぎ直しをしてくれるサービスがあります。職人の手にかかれば、切れ味の鈍った包丁も新品のような切れ味に生まれ変わることができます。まだ利用したことはありませんが、いつかはお願いしよう、と心に決めています。
時間がかかる場合もあるので、余裕を持ってお願いしたいですね。
最初に購入したのはもう15年以上前。
それからほぼ毎日使用していますが、GLOBALを使用していてストレスを感じたことはありません。
クールで仕事のできる相棒、とてもおすすめです。
■ご参考まで
ふるさと納税でも取り扱いがあるようです。
ご一読ありがとうございました。